自分にあった進路を見つける話

「大学に行けば大丈夫」な時代は終わり。進路について調べたり、見たり、聞いたりした話しをまとめていきます。

幕末と現代を比べると、これからの進路指導が見えてきた

現代は、幕末に似ている。

明治維新以来の大変革期が、今まさに来ている。

このパラダイムシフトは、江戸から明治に移った150年前と同じ。

 

 

この話を聞いた時は、

日本人は幕末好きね。くらいしか思わなかったが、

なるほど、たしかに言い得て妙だなぁ。と司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を読んで思った。

竜馬がゆく歴史小説で、脚色されたものであったとしても、それはそれで面白いから良いでしょう)

 

幕末と現代は似ているな、と思うポイントは大きく3つ 

①絶対的な場所(藩・会社)に固執

②絶対的な場所を手放した者が活躍

③なぜ絶対的な場所を手放せたのか

 

特にこの「 ③なぜ絶対的な存在を手放せたのか」ということを考えた時に、

明治維新以来の大変革期が、今まさに来ている現代をどのように生き抜け方法が見えてきた。「手放せたのか」を実行すれば良いのだから。

そして、手放す方法を教えることがこれからの進路指導であり、学校に求められることだと思ったのでまとめる。

 

 

①絶対的な存在に固執

◯幕末

幕末の絶対的な場所とは「藩」。藩が人々の生きる土地の全てであった。

また身分階級がはっきりしていて、生まれた階級の中でしか生きれなかった。武士といっても、上士と郷士とで扱いが全然違う。がちがちの身分制度。特に土佐藩は他藩に比べてもその身分差は大きく、たとえ裕福な郷士だとしても殿様に謁見することはできず、優秀な郷士だとしても城に登用されることはなく、貧しく才能にかけるとしても上士であれば役職者として迎えられる。

黒船が来て以降、日本全体に異変が起きている中でも、変わらず藩という存在は変わらないと思っている人は多かった。西郷隆盛大久保利通ですら、藩という存在を軽視できず、あくまでも藩を前提にした開国論、尊王攘夷論だった。

 

◯現代

現代の絶対的な場所とは「会社」。

高度成長期以降、日本企業の成長を助けたのは「終身雇用」「年功序列」「年金制度」etc

それによって、最初に入った会社で定年するまで働くことが良いとされていた。つまり最初に入る会社が、ある意味でその人の階級を決定するような時代。

どんなに優秀であっても二流三流大学では有名企業に入れず、逆に対して優秀でなくても有名企業に入れる。そして最初に入った会社の有名度によって一生がある程度決まる。

最近はそんなことないでしょ、と言われそうだけれども、意外とそんなことはない。

まだまだ最初に入る会社が階級を決定すると思っている人は多く、またそんな会社に勤めている諸先輩方は今の会社にいれば一安心と思っている人がまだまだ多い。

 

②絶対的な場所を手放した者が活躍

◯幕末

当時、藩を捨てることは死罪であったが、それでも坂本龍馬は脱藩をし、藩にとらわれることが無くなってから活躍をした。

もちろん西郷隆盛大久保利通などは脱藩せずに、自藩に所属したまま活躍した人物も多くいる。また勝海舟など幕吏にもかかわらず、活躍した人物は多くいる。

しかし彼らも藩や幕府にこだわっていたがために、自分の意見を通せず、判断を誤らざるを得ない時があった。

 

◯現代

 メディアやニュースで取り上げられる現在活躍されている人は、やはり大手企業の誰々というよりは、会社から独立された人が多い。書店に行けばそんな人たちが書いた本が所せましと並べられている。

もちろん会社に所属しながら活躍されている人も大勢いる。しかしその人の経歴を見ると、入社してからずっと同じ会社という人は稀だと思う。

 

 

③なぜ絶対的な場所を手放せたのか

 

坂本龍馬がなぜ脱藩できたのか。そこには数々の犠牲とリスクがあったはずだ。現に坂本龍馬の姉は、龍馬の脱藩がきっかけで自害をしている。逆に、西郷隆盛はなぜ脱藩をしなかったのか。

現代においても、会社から独立できる人が大勢いる一方で、会社から独立できない人も大勢いるのはなぜか。

 

比較して考えた結果、こういうことじゃないかな、と思ったことは2つ

1)武器があった

2)どうしてもやりたい、好きな事があった

 

1)武器があった

坂本龍馬は剣術が免許皆伝の凄腕で、数多の死線を剣出来る抜けている。強くなければリスクを背負って危ない真似は出来ない。

更に当時は剣が強ければ一目おかれる。知識に長けていても一目おかれただろうが自分の身は守れない。だからどんなに知識人であっても、倒幕を大声で唱えるものはいなかったし、唱えたとしたらすぐに死罪だった。

 

そう考えると現代は大いに寛大で、殺されるリスクは限りなくゼロに近い。一目おかれる武器さえあればよい。

ただ、幕末と比べるとこの武器を手に入れることが至難の業で、並大抵の知識ではGoogleに負けるし、並大抵の技術では直にAIに抜かれる。

 

2)どうしてもやりたい、好きな事があった

竜馬がゆく」を読んで一番驚いたことは、龍馬はただの船好きだったということだ。

船に乗って、世界中を航海して、商売をしたい。その好きだけで、水夫に航海技術を学び、日本初の株式会社を作り、大政奉還まで起こした。龍馬の倒幕の目的が、他の志士たちと違って、人間臭くて、とても好感をもった。

 

現代活躍されている人たちも、とにかく自分がやっている事が好きという人ばかりだと思う。

少し前は「好きな事ばかりして食っていけるほど仕事は甘くない」と、一蹴されて終わりだし、自分自身でもそう思っていた。しかし、最近はそんなこともなくなってきたと感じる。好きな事を仕事にした人から活躍している。ただし、並大抵の好きではなく、どうしてもやりたい好きな事に限る。

 

 

坂本龍馬は、武器があって、やりたいことを見つけても、すぐに行動したわけではない。武市半平太をはじめとした同士たちが死んでいく中でも、まだ時代が追い付いていないと言って、時代が変わるのを待ち続けた。

大政奉還後の世界にようやく、大好きな船を仕事できる時代が広がっており、その前に潰えてしまったことは不運に思う。

 

しかし現在はもう、現代の大政奉還後の世界だと思う。

大政奉還は、インターネットの普及に始まり、スマホSNS、AI・・・数々のテクノロジーが起こしてくれた。下地も、武器をもっていた免許皆伝並の凄い人たちが作ってくれた。

現在は、好きな事を仕事にすることができる。

そのことを踏まえて、進路を考えてほしい。